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少年は光をめざす -木口糧×若松卓宏「盤上のポラリス」- [漫画]

元々は自分に備わっていないのに、ふとしたところから、または人から、面白いことを知ったりすることがあります。
ひとつ具体例をいうと、私の場合、今の仕事に就く機会を与えられたのが、前職の方の一言でした。
こんな資格があり、やれることが増える。私が貴方の立場なら、こんなところにいつまでもいないで、その資格を取って、違う事をする、とそんなことを言われ、数年後、確かに仕事を変えることになりました。

給料は安くなってしまったので、経済的にはそれが良かったのか、微妙なのですが、前職はもう続けられないと思ったので、違う職に就けるスキルを見つけられたのは、きっと良かったのだろうと思います。

漫画においても、自分の知るところからは、決して読むことのない漫画を、ふとしたことから読む機会が得られたりすることがあります。今回はそんな漫画を採り上げたいと思います。

ということで、木口糧(原作)、若松卓宏(作画)「盤上のポラリス」(講談社)です。
現在、月刊少年マガジンに連載されていて、単行本は3巻まで刊行されています。 

ざっくりとしたあらすじなどを申しますと、こんな感じ。
舞台は長崎の離島。小学五年生の一兵は、伝説の勇者にあこがれて冒険に出ることを夢見ていた少年。冒険に行きたくても行けないと実感してしまった経験があり、でも冒険に行きたいと胸に秘めながら日々を元気に過ごしている。
そんなとき、病弱な女の子(で、可愛い)の転校生ひめが気になり、自分と似たところを感じ惹かれていく。
彼女の夢は、チェス盤の上を冒険していき、チェスのグランドマスターを目指している。一兵は、彼女とチェスをすることで盤上の冒険の世界を見て、新しい冒険の世界を見出す、という話。

作品としては、しばしばみかけるパターンを複合しているものですね。
一つは、門外漢のものが新しい世界に触れ、その世界における才能の一端が見られて…という、「ヒカルの碁」も同じパターンですね。丁度、二人で行うボードゲームという辺りも同じだったりします。
もう一つは、新しい世界の扉を開く端緒となったのが、主人公の少年が少女に出会って…という、a boy meets a girlなパターン。
そして、新しい世界に飛び込んだ先に現れる、強いライバル。…何か王道ですね。

では、陳腐なものでさして面白くないかというとそういう事ではなく。
周辺のキャラクターが次第に出てきて、ただメインを埋没させずにいいバランスで配置されていて、また作品を盛り上げる時の演出が、なかなか秀逸ではないかと思います。少年誌のワクワク感がしっかり出ていて、良いですね。
主人公一兵の才能の一端の描き方が、盤上に光を見出し、そこに至るにはどうしたらいいか、という描写も個人的に好きです。
王道的な展開をいかに見せるか、演出面に心地よさがある作品ではないかと思います。
そして多分、ライバルの父のモデルは、実在のチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーなのかな?と思わせたりして、遊び心もあるところもまたいいなぁ、と思います。 

この作品、掲載誌が月刊少年誌で、自分ではなかなかそこまでフォローできないところです。
多分、私がこの作品を知ったのは、amazonの自分へのおすすめで挙がっていたからだったと思います。
検索や購入履歴からおすすめをリストアップするものだと思いますが、なかなか侮れないなぁ、と感じます。

余談ながら、私の場合、いくつか書籍のネット通販のサイトを利用しているのですが、それらのおすすめを見て、新規の開拓をしてみることがあります。…まあ、たまにハズレますけどね。 

という事で今回は、少年は荒野をめざすという言葉が似つかわしい作品だなぁ、と思っていたら、吉野朔実の同名の作品を未読なので読んでみたいなぁと、こんなふとしたところから興味が広がっていきまして、まさに冒頭で話したことにつながってオチがつきました、という話。 


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