行政書士試験について追補的私見-記述式等について- […試験]
以前の記事にも書きましたが、私はアクセス解析をこちらのブログに付けさせて戴いております。
それを見てみるに、行政書士試験について、検索をかけていらっしゃる方が結構いらっしゃいますし、そろそろ試験も詰めの時期にさしかかる頃でしょうから、今回はこの辺りのことについて、従前のものに追加して、つれづれと書いてみようかと思います。
…以前書いたものですと、若干今年の対応として適当でない記述が含まれておりますので、せっかく来ていただいた方に申し訳ないと思っていたところですから、ちょっとタイムリー、でしょうか?
ただ、詳細な検討を加えた上での記述ではなく、あくまで素人考えですので、金科玉条のように考えたりはせず(…そんな危険なことを考える方が、いらっしゃるとは思えませんが)、一つの考えとして、こういう考えもあるくらいで、軽くお読みいただければ幸いです。
では、行政書士試験に興味のある方、以降をどうぞ。
(数字のマジック)
一度書いたことがあるかもしれませんが、去年の行政書士試験の合格率は、2.62%だそうで。
数字だけ見ると、えらく難しい試験に感じられますが、これ、実質的な数字ではないことに注意したいですね。
といいますのは、数字だけ見たら、行政書士試験は、「司法試験より難しい試験」(←今年の旧司法試験の合格率は、2.62%より低そうですが。去年の最終合格率(=約3%)と比較した場合)ということになりかねませんから。だまされてはいかんように思います。
ただ一方で、簡単な試験かといいますと、某予備校の講師が言うほど簡単ではないように思います。去年ほどではないにせよ、士業として、専門的な知識を用いて、仕事をすることのできる資格を得る試験なのですから、そんなに簡単では、将来の依頼者が困ります。
「数字ほど難しくはないけれども、簡単といえるほど簡単な試験でもない」というのが適当かと思います。
何故、かように合格率が低いのかといえば、考えてみれば結構単純な話でして、「試験を嘗めてる人」が結構いる、ということに尽きるのではないでしょうか。
例えば、今ぐらいから、法律的な知識のない状態で勉強を始めて試験を受ける方とか、もっとひどい話になりますと、とりあえず1か月とか、1週間だけ勉強してみて、試験を受ける方とか…。
行政書士試験は、合格して、登録すれば、業務に従事することが可能となります。1か月勉強したくらいの人に、仕事を依頼したいか?ってぇ話ですよ…。
(試験制度の変更と出題の難易度)
話は若干変わりますが、難易度に関連する話を。
「今年は、試験制度が変更されるので、簡単になる」と言っている予備校講師がいらっしゃるようです。
…これ、私には疑問です。プロの、講師をしていらっしゃる方に対して失礼ですが「そうかなぁ? ある程度は当たっているかもしれないけど、手放しで簡単になるとまではいえず、『去年よりはマシだが、それほど簡単でもない』と言っておいた方が、受験生のためにもいいんじゃないの?」というのが、私の考えです。
確かに、今年の試験が、去年ほどの合格率になるような難易度になるとは、私も思いません。
去年の合格率(というより出題の難しさの「質」)は、ちょっといただけません。そういった部分で、出題の難易度は、若干緩和してくるのではないかと思います。
加えて、今年は試験制度の変更の初年度という事情があります。
「試験制度が変わると、初年度は比較的甘い」というのが試験界の定石らしいので、この点も考慮すると、緩和傾向があると思われます。
ですが、そんなに甘々ではない、と思っておいた方が無難でしょう。
「去年難しすぎたから、今年はかなり簡単にするのでは?」などと、そう単純なものではない、と私は申し上げたいですね。
といいますのは、試験の難易度は、「行政書士業界の昨今の事情」というものにも関わってくるからです。
事情とは何か?と申しますと、ここ数年、行政書士に限らず、司法書士に関してもそうですが、業務拡大を意識して、業界相互のせめぎあいが続いているような状況があるようです。
で、行政書士。問題なのは、そのレベル自体の問題です。
他の弁護士や司法書士のような士業と比較して、行政書士は総じてレベルが低い、とみなされているのが現状のようです(…私の個人的、主観的な意見ではないですよ)。
とすると、試験が簡単な年に行政書士試験に合格したはいいけど、ろくに法律を知らない、そんな輩が出てきてもらっては、一層侮られること必定になりますから、一定のレベルを維持しないと困る訳です。
となると、行政書士全体の地位向上のためにも、エキスパートになれる人材を確保するべく、法律について、きちんと理解している人を合格させたい、そのためには、試験問題はそんなに簡単なものは出せない、と考えるのが自然ではないでしょうか。
そんなこともあって、一般教養よりも法令科目の問題を重視する試験制度に変更したわけですし、そのような傾向を軽視して、手放しで「今年は簡単だ!」はナイと思うと、そういうことです。
加えて申しますと、試験当日の現場の心理状態としても、難しいと思っていた方が、要らないパニックに陥らないで済むのでは?と考えることもあります。
すなわち、試験当日、本試験の問題を見たら、簡単かと思いきや思ったより難しい、で、解けない、どうしよう…となるよりも、難しいと覚悟した上で問題を見てみたら、思ったより解けそうだと思う方が、現場で実力を発揮できるように思う、とそういうことです。メンタル面の問題ですね。
(記述式の出題形式の変更について)
さて、話を変えまして、今年受験を考えていらっしゃる方が、一番気にされているのは、おそらく記述式の問題、でしょう。
ちなみに申しますと、今回改めて、行政書士試験について書いてみようと思い立ったのは、これが変更されたから、というのが大きいです。今回の本題ともいえる話です。…前置きがものっそい長いですが、それはそれとして。
変更された点ですが「記述式は、40字程度で記述するものを出題」ということだそうで。
これ、正直な話「どんな問題が出るのか分からない…」と、気にしてても仕方ないです。試験を出す側以外、みんな分からない訳ですし。とりあえず、従前の、基本事項を押さえるような勉強をするのは当然ですね。
出題ですが、「法律用語の定義を書かせる」とか、知っているか知らないかで、大きく点差が開くものは出してやるなよなぁ、と私なんぞは思いますが、そこはそれ、行政書士試験研究センター(の問題か分かりませんが)は、頭の悪いところですから、何があるか分かりませんね。正直「出たとこ勝負」でしょうね、これは。
今までの記述式の出題がよろしくないというなら、暗記系ではないはずなんですが…。
ただ、従前の記述式だって、…あれは、ある程度出来ないとまずい、と思いますけどね、士業を目指すなら。従前の記述問題、そんなに悪い出題だと思ってないです、私。
まあ、そうは言っても、変更されたものをいつまでもグダグダ言っても仕方ありません。
また「諦めたらいいんじゃね?(若者言葉調)」などと申し上げるつもりもありません。
具体的に、記述式に特化した勉強はどうすれば? ということを考えるに、特に何かやる必要はないと申し上げたいんですが、今年に関しては何がしかの対策を考えた方が良いかもしれません。
で、その対策ですが、やはり「餅は餅屋」ということになるかと思います。受験予備校ですね。
すなわち、予備校の記述問題に対する講座や演習(答案練習・模試)、問題集をやる、という以外にはないかと思います(ちなみに申しますと、来年以降―今年受験される方が受けることがないといいのですが…―は、今年の出題を参考にすればいいのですから、以前申し上げましたとおり、記述対策というものは、答案練習・模試を通して解く以上に、別段必要ない、というのが私の考えです)。
結果として役に立たない可能性も大いにありますから、気休めにしかならないかもしれません。しかしながら、他の受験生もかかる対策を採られている方が、それなりにいらっしゃるでしょうから、もし、予備校の予想が当たった場合を考えると、記述式の対策をされた方に、それだけアドバンテージを与えることになってしまいます。
「自分も、とりあえず他の受験生と同じ状態にはなっておこう」というかなり消極的な理由ながらも、受けておいた方が宜しいのではないでしょうか。「自分だけマイナス」は、やはり避けたいところですから。
講座や演習を受けることについて、加えて受け方についても申しますと、今回の行政書士試験研究センター側からの説明では、どういった問題が出題されるのか、はなはだ不透明ですから、一つの予備校だけでなく、いろいろ複合的に予備校の「はしご」をして、受けてみると宜しいのではないか、と思います。
記述式対策については、「これだけやれば、どれか多少は当たるだろう」ということもありますが、それ以上に、メンタルな部分にも作用する面が大きいと思います。
これは、一つの予備校に依存した場合で、本試験で違う形式で出題されたことを考えると、お分かりになるかと思います。すなわち、本試験の現場で「もし、違う予備校で何がしかの講座、模試を受けていたら、これは解けたのでは?」と、後悔したりすることで、モチベーションが下がって、結果が芳しくなくなる虞があると、そういうことです。
メンタル面のマイナスは、案外馬鹿にならないもので、「もう駄目だ」と思いながら解いていると、解ける問題も、解く糸口を見落として、間違ったりしますので、試験前に排除できる不安要素は除いておいた方が、当日、プラスに作用するように思います。
…もちろん、時間的、金銭的な問題もありますから、すべて網羅しろというのではありませんで、記述対策の講座についてはA校で、答案練習・模試はB校で、といった具合に、一通り目を通してみるのが一番効果的でしょうか。
あ、別に私は、受験予備校の回し者ではありませんから、予備校の上記の講座等を受けなければ今年の合格はおぼつかない、などと申し上げるつもりはありません(私自身も、テキストを購入し、答練・模試をある程度受けただけで、講座の類は一切受けてませんから)。
普段の勉強をきっちりやってきた方でしたら、別段記述対策を講じなくても、それで足りるでしょう。
ただ、合格しやすい一般的な方法論を申し上げたつもりです。御了承下さい。
ということで今回は、あと2か月くらいですが、ラストスパート、頑張って下さいね。私も応援します!って、どっかの受験予備校の煽り文句みたいだなぁ。でも、真面目な話、多少なりとも、自分の経験等が、人様の役に立つといいのですが…、という話。
こんにちは、オレンジです。随分ご無沙汰しています、覚えていらっしゃいますでしょうか?。昨年は、民法に関し色々とご指南頂き有難うございました。お陰様で今年の行政書士試験は無事合格しました。粋狂さんのとても分かり易いご指導により(テキスト選びも含め)、民法に対する苦手意識も緩和され、本試験に臨む事ができました。心からお礼申し上げます(本当に大変役に立ちましたし試験勉強に対する認識が変りました)。ですので、一言お礼をと思いコメントを書かせて頂きました。本当に有難うございました。それでは、まだまだ寒い日が続いておりますが(暖冬と言いましても)、司法試験のお勉強の方頑張ってください。取り急ぎお礼まで。
by オレンジ (2007-02-04 14:38)
>オレンジさん
そうですか!
合格されましたか。おめでとうございます!
私の拙い文章が、役に立ったとおっしゃって戴き、本当に恐縮です。
オレンジさんは、今度は、司法書士ですね。簡単ではないというよりも、難しい試験であることは存じておりますが、難関突破に向けてお互い頑張っていきましょう。
蛇足ながら、先日、予備校の講師の方(公務員試験の担当の方なのですが)と少しだけ話をする機会があったのですが、今後の動向としては、行政書士は、業務としてできることがかなり広いことから、なかなか面白いのではないか、というようなことをおっしゃってました。
司法書士が、基本的に登記関連の業務がメインとなるのに対して、行政書士はいろいろできる、と。
もちろん、名前を売っていく営業努力は必要になるでしょうが、今後の展開が明るいと思われる資格を取れたことを、ひとまずは喜びたいですね。
業務がなかなか被らないかもしれませんし、会費を考えると、割に合わないかもしれませんが、行政書士、司法書士、両資格を得て業務できると、トータルでいろいろなことができそうですよ。
by 粋狂 (2007-02-05 11:00)