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川崎市市民ミュージアムに行ってみる-「サンデー・マガジンのDNA」展- [漫画]

いつ以来でしょうか。久しぶりに、川崎市市民ミュージアムに行ってきました。近所(8キロくらい?)なので、
10:00くらいに家を出て、自転車をテレテレこいで、30分くらいで到着いたしました。

建物の外観。

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…上手くフレームにおさまらなかったので、分割。

 

 

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建物左側。

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建物右側。 

あ。お目当てはこちらです。
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「サンデー・マガジンのDNA」展になります。ということで、今回はそのレポートのようなものを。


10:40 くらいから見始めました。
会場は、大別すると、二つに分けられるでしょうか。
サンデー・マガジンの創刊から今に至るまでを、’59~’69、’70年代、’80年代、’90年代、2000年代以降の各年代に分けて、その各年代に掲載されていた作品のカラー原稿と、モノクロ原稿の1ページを(一部は、カラーのみであったり、モノクロのみであったりしました)を展示する形式。
併せて、雑誌自体の展示(無論、創刊からすべてを展示するのは物理的に不可能でしょうから、象徴的なものをいくつかと、結構な数をケースに入れて、吊るすような形で展示していました)。

また別に、比較的小さなスペースになりますが、「トキワ荘のマンガ家たち」、「『あしたのジョー』×『巨人の星』」、「『タッチ』×『うる星やつら』」等に関する、ちょっとした展示がありました。


さて、感想など。
面白く、印象に残ったのは、70年代の、サンデーの、ある号の表紙の展示。シュールレアリズムな表紙になっている号がありまして。
考えてみるに、「金魚屋古書店」でも、だまし絵で有名な、エッシャーのマガジンの表紙の号がありますし(展示では見つけられませんでしたが)、また別に、マガジンでは、横尾忠則のサイケなカラーリングの表紙もありますし。

私自身は、漫画は読んで楽しむというもの以外のなにものでもなく、漫画を文化という意識で捉えたことは、あまりないのですが、上記のような表紙を見ると、さすがに文化的な側面を感じます。
…こう書きますと、いかにも俗っぽい判断基準にのっとってますね、私。いや、確かに、まごうことなき俗物ですけれども。

また、70年代後半から連載開始した作品は、リアルタイムで見かけた作品が増えますので、懐かしかったです。
ただ、展示品がいつの頃の連載か書かれているのを見ると、「この作品、もうこんな昔なのか!」と、びっくりするものがちらほら。
あだち充「タッチ」などは…、25年以上前に連載開始(1981年~)したんだなぁ、と思うと、本当に驚きます。どこかで時間が止まっているのか、「ちょっと前」くらいの印象なものですから…。


あとは…、今回の展示に限らず、たまに見かけることがある際にも思っていたのですが、モノクロ原稿は、基本、印刷されてこそのものと思います。
というのも、原稿に修正などがあるため、印刷になったものの方が綺麗、ということです(あ、でも「スプリガン」は、印刷でトーンがつぶれてしまうため、掲載誌さらには単行本よりも、原稿の方が綺麗かもしれません)。

一方、カラー原稿は、逆に印刷になると、完全に再現できるものではないのが顕著に分かり、何かが抜けてしまうというのか、縮小とも関連して、細かい濃淡がつぶれてしまうんだなぁ、と。
原稿は美しさが際立ち、原稿と印刷との落差が結構ありますね。こちらはモノクロ原稿とは異なり、むしろ、現物そのものを見た方が面白いです。…もっとも、カラーの原稿がぱっとしない方もいらっしゃいました。誰とは申しませんけれども。

毎回、実際の原稿を見ることができればいいのですが、やはり、それは現実には無理でしょうから、印刷されたものを見るわけですが、こうして原稿を拝見できる機会があると、実際の上手さが分かります。
…しかしながら、印刷された場合にどうなるのか、その仕上がりを知っていて、あまり違いがないように意識して描くことができる場合、それはそれで技術というのか、商業誌に描くための能力といえますから、単に元の原稿が綺麗=上手い、とはいえないという側面も、実はあるように思います。
この辺りはどのように考えるかで、単純に上手・下手と言い切れないのは、なかなか面白いように思います。

これに関連して、印刷までを視野に入れるという意味では、修正もしやすく、また、仕上がりも、印刷のものにより近いものが可能になるCGに大きなメリットがあるともいえますね。
実際、展示の中でも一部は、CGのものもありましたし。それでも、CGより、手塗りのものの方がいいなぁ、と思います。なんというのか、何か手塗りの方が面白みがあるように感じます。いや、アナログな人間なものですから、私。 

ところで、この、現物と印刷物との落差ですが、特に印象に残ったのは、村上もとか椎名高志のカラー原稿。
村上…は、今まで別段上手いという印象を持っていなかったのですが、カラー原稿を見るに、…上手かったです。本当、今まで気にせずスルーしていて、すいませんでしたという感じ。

椎名…も同様で、画力というよりものがたりで見せるタイプだと思っていましたが、カラーは結構いい感じでした。加えて申しますと、最近は、椎名の作品は、CG化してしまったような記憶があるので、今はもう、手塗りのカラー原稿は、珍しいものかもしれません。

他には、大暮維人のカラーは、印刷でもかなりきちんと再現されているというのか、結構綺麗なものですが(結構前の「コミッカーズ」におけるインタビューで、コピックの重ね塗りなどで、どう印刷に反映されるのか、肉眼では分からない色ムラが出るのか等、かなり勉強した旨、述べていました)、それでも現物の方がもう一段上でしたし、
また、絵が上手い、ということではあまり挙げられていない方ですけども、田辺イエロウのカラー原稿は、印刷になると青の透明度が落ちるのか、青の綺麗さが、印刷ではあまり再現されていないんだなぁ、と思いました。印刷物と現物とで、結構落差がありまして、現物はかなり綺麗でした。

そういえば、購入した図録を見るに、久米田康治「さよなら絶望先生」のカラー原稿の説明で、「作画はMacintoshで行っている」旨の記述があるのですが、現物を見た感じ、あれ、本当にCGでしょうか。描線の取り込みはともかく、彩色は、微妙に濃淡があって、手塗りのような印象だったのですが。
あれがCGだとすると、CGでできることってすごいなぁと思います。
「かってに改蔵」の方はCGといわれても違和感はなかったのですが、「絶望先生」の方も、本当にそうなのかなぁ…。

…ただ、この展示されていたカラー原稿、原画ではなく、データ化したものの印刷(もしくは複製)、だったのかもしれませんね。

というのも、図録を見ると、「基本原画だが、そうでないものは、CGはプリントしたものにサインして、また、原画の現存が確認できないものも複製にサインして、原画に類するものとした」旨、書かれていましたので。
確かに、久米田…のものには、サインがしてありました。


他に、展示で思ったのは、いろいろ展示作品がある中で、ながいけん「神聖モテモテ王国」が、何か異彩を放っていたことでしょうか(…敢えて、違和感とは申しますまい)。展示品の選択される方が、私などと年齢層が近いんでしょうか。そんな気がします。蛇足ながら、この作品を選びたいのは、個人的には非常に分かります。私もものすごく好きな作品なものですから。


また、メインではないのですが、他には、ちょっとスペースがあった、あだち充と高橋留美子の展示についても。

特に印象に残った展示は、あだち充のアイディアノート(の一部)。
見ていた人の一人が「このノート、1ページ欲しい!」と言っていましたが、私も同感です。実際に、作品になる前の、検討中の案であるとか、さらっと描いたイラストなどがつらつらと載っていたのですが、なかなか面白いものでした。

他にあだち充の展示で、面白かったのは、デビュー作(だったと思います)が、今現在とは似つかない作風であったのと、その作品の隣に「銭ゲバ」が描いてあったことでしょうか。 

とまあ、かなり、ゆっくりと堪能しました。見終わったのは、13:00前くらいでしょうか。
この日は、その後、14:00から、さいとう・たかを夏目房ノ介のトークが予定されていて、これを見ようと思っていたので、その時間調整で、展示会場の出口付近においてあった、展示作品の単行本を適当にあさって、時間をつぶしました。

とりあえずのまとめ。
こちらのブログでは、マンガについて云々書いておりますが、私は、昔っから(…今も)ディープなマンガヨミではありませんで、それでも、かなり今回の通史的な展示は、どこかしらに「ああ、これこれ」と引っかかるところがあって楽しめましたので、サンデー・マガジンに深い思い入れのある方は、一層楽しめるのではないかと思います。逆に、深い思い入れがなくても、通史的な流れを眺めるというのもまた、それはそれで私のように楽しめるのではないかと思いますので、興味のある方は御覧になってみてはいかがかと思います。 


14:00~15:20 トーク本編。そして、

15:20~15:40くらい? 質疑応答、という流れでした。
…トークについては、プロデュースや分業制であるとか、マーケティングリサーチであるとか、面白いうといのか、興味深い話が伺えましたので、次回は、それについて書ければと思います。
…あまり上手くまとめられる自信がないので、単なる羅列になったりしてさして面白くなさそうなら、お蔵入りになってしまいますが。

と、今回はこれにて終了、とは相成りませんで。
事前に、トークにいらっしゃる旨聞いていたので、トークの会場に行けば、多分会えると思っていたマイミクさんのCu39さんが、やはりいらしていて、トーク終了後、お会いしまして、再入場してみました。

…あ、説明不足ですね。「サンデー・マガジンのDNA」、半券を持っていれば、当日の再入場は可能ということです。ありがたいです。 

Cu39さんから言われて、なるほどと思ったのは、あだち充の展示品は、ペンにしても、アイディアノートにしても、使っている画材にしても、普通に入手できるものである、という指摘。
確かに、ノートなんて、多分普通のリングノートで、罫線の入ったものだったり、無地のだったりと、「これでないと」という執着を感じませんで、こういう辺り無頓着なのかなぁ、という感じです。「弘法、筆を選ばず」ということなのかもしれません。


ということで今回は、マンガヨミ堪能す、という話。
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