SSブログ

安上がりでも至福 [漫画]

書こうと思いつつ、そのまま放置していたことがあったので、今回はその辺りについて。

まあ、綺麗にまとまった文章になりそうもなく、「…それで?」と、なりそうなだけの、自己満足的な文章以外の何者にもなりそうもなかったので、筆が進まなかったというのもあるのですが、最近、そうでなくても放置気味になりつつあるので、それではいかん!と、ちょっと思ったこともありまして。
…「別に、そういう前置きは要らない」? 「もともと、自己満足以外で文章書いていないのでは?」「『それではいかん!』と自分で思うのは勝手だけど、それほど期待もされてないですよ?」ですか…。もっともな話です。

…ともあれ、本題。


私は、漫画の雑誌の中で、購入して読んでいるものが、結構あります。
週刊では、サンデーマガジンチャンピオン。月刊では、アフタヌーンIKKI、SQ、とモーニング2
…こう羅列してみると、本当に、大丈夫か、私? と思いますね。 

…で、最近、読むのが一番楽しみなのは、アフタヌーンです。 

まず、豊田徹也「珈琲時間」という連載を始めました。
そういえば、先月号(’08 8月号)では、「アンダーカレント」でも出てくる探偵山崎が出てましたが、飄々としていて、いいですね、このキャラクター。ネット上でどちら様かが書いていたのは、「アンダーカレント」を実写化したと想定した場合、その配役として、山崎は、リリー・フランキーがはまり役では? と、指摘していたんですが、確かにそんな感じ。好きです、こういう感じの、肩の力が抜けた人。

閑話休題。新連載の「珈琲時間」、現時点では(’08 9月号時点)、短いページ数で、かつ、とりとめのないというのか、劇的に何かが起こるというのでもないのに、読ませる作品ですね。
「アンダーカレント」も、劇的に何かが変化するというものではありませんでしたが、こういう細やかなものを、読ませるようにつくるというのは、やはり上手いからなんだろうなぁ、とテケトーなことを思います。


また、木村紺「からん」の連載を始めました。従前の作品からは、想像がつきませんでしたが、今回の作品の題材は、女子高における女子柔道。とはいっても、女子高という「女性の園」にも拘らず、フローラルな雰囲気はなく、また、柔道をかなりしっかり描いているにも拘らず、スポーツものの匂いがしない不思議な印象を受ける作品になっています。

まだ、始まったばかりなので、どういったものになっていくのか分かりませんが、楽しみな作品です。従前の作品「神戸在住」「巨娘」の間を取ったような雰囲気があって、これはこれで、独特の雰囲気を感じます。

全然、本編の流れとは関係ないんですが、個人的に妙に印象に残ったのは、柔道部の先輩である、大石萌(めぐみ)の言葉遣い。
なんでしょう、「じゃりン子チエ」のテツの口調とかぶるんですよね。…言葉遣いだけじゃなくて、言動も結構かぶるからでしょうかね。

…そういえば、書いていて気付きましたが、木村紺の作品は、今回の作品も含めて、全て主人公が女性ですね。ご本人、男性なんですけど、何か拘りがあるんでしょうかね。


豊田と木村、上記の2人。従前の作品も、好きな作品でしたし、また、新規の上記の連載作品も、まだ始まったばかりではありますが、面白く感じましたので、もうこれが、最近の一番の楽しみとなっております。

そういえば、私は、以前、神戸在住のことをエントリに上げた際に、「木村紺は、基本的に絵が上手い」旨書きましたけども、今回の「からん」で、その辺りを遺憾なく発揮し始めたような印象があります。
…でも、まだ、単行本になった際には、読み難くなってしまうだろうコマが散見されますね。いいんです、それでも。


あと、他の連載作品もいくつか挙げておきましょうか。
随分と以前に取り上げた作品でもありますが、幸村誠「ヴィンランド・サガ」。 

(以下は顕著なネタバレを含みます)

 

 

 

 

今月号(=出てから結構経ってしまっていますが、’08 9月号)の感想として、「ビョルンとアシェラッド、2人は、言わずとも友達だったろ?」という感想を持った方も多いようですが、私自身は、別の感想を持っております。

戦場で、生死を共にする「仲間」ではあったでしょうけども、ビョルンが切り結ぶ前に語ったように、アシェラッドは自分自身を含めて全ての者を拒んでいる者であって、ビョルンは「友達」ではなかったように思います。
ただ、ビョルンの言葉通り、本当に全てを拒んでいるかというと、そうではなく、多少なりとも頼るところはあって(そうでなくては、その後、トルフィンに対峙した際のアシェラッドの静かな迫力の説明がつきませんし)、アシェラッドにとって、友達に一番近い位置にいたのは、ビョルンではなかったかと、そんな印象を受けました。

友達ではなかった、ということについて、補足しますと、341頁の3コマ目の、アシェラッドの表情の変化と、次のコマ、ビョルンの最期を看取るにあたって「たったひとりの友達だ」と語るところを、どう受け取るかにもよるのかなぁ、と思います。
私自身は、死に逝くもの(しかもアシェラッドの一番の理解者)に対してかける、手向けの言葉だったのではないかと思いました。

確かに、ビョルンの最期をみるに、アシェラッドが自分自身の心の奥底に気付いて、「たったひとりの友達だ」と語ったと、受け取れなくもないでしょうけれども、私自身は、その解釈はしっくりこなかったです。
というのも、「友達だ」と言葉をかけた直後の、341頁の最後の4コマ目で、何故、アシェラッドの表情を描かず、黒いシルエットにしたのかと考えるに、やはり、アシェラッドがビョルンに対してかけた言葉に、嘘があるからではないか?と思うのですが…。


今月号のアフタヌーンということで、さらに。
田中ユタカ「ミミア姫」。今月号は、同作者がヤングアニマルで連載していた「愛人」の終盤のときにもあったように記憶しているのですが、ほとんど文字だけで描写しつくしてしまう手法を用いてましたね。

「絵があっての漫画」という意味で、なかなか大胆なことをしていると思います。この手法、「作品の内容が、読み手をひきつけている」という自信がないと、使えないものではないかと思いますが、いかがでしょう。
漫画で、わざわざ文字の羅列を読みたいとは、通常思わないでしょうし、読み手を余程ひきつけていないとすると「何、恰好つけてんだ? 気取ったことをしやがって…」と、何となく興醒めな印象を受けるような気がするからです。

そういえば、文字情報過多というのか、その多くを絵でなく、文字などで代替してしまうこれってぇのは、あれでしょうか。
「こういうのも、アリだ!」ってぇことで、アニメーションの「新世紀エヴァンゲリオン」の(あ、「ヱヴァンゲリヲン」の方は、さして興味もないし、よく知りません、私…)の影響なんかもあるのかなぁ、などと、適当なことを思ったりします。
蛇足ながら、田中の絵…ロリっぽいのがなぁ…、と思うのですが、描いている題材は結構好みだったりします。

ちなみに、「愛人」、そのタイトルと絵柄からあまり食指が動かず、最後の辺りで「ベルセルク」「ももいろシスターズ」目当てで立ち読みしたヤングアニマルで、終盤の話だけ読んだだけなのですが、その描写がなかなかに興味深かった印象がありまして、古本屋で、まとめて購入して一度読んでみたいなぁ、と思ったりしております。ただ、絵柄がなぁ…。
「ミミア姫」も絵柄がなぁ…、ということで、いまだ、掲載誌で読んでいる限りだったりしますし。


他の作品も、ちょいと。
口コミのような伝播の仕方をして(アニメーション化で、拍車がかかりましたけども)、じんわりと、かなり幅の広い読者層を獲得しているひぐちアサ「おおきく振りかぶって」、メインのキャラクターである、三橋―阿部のバッテリーの関係が少しずつ変わっていく(悪化するという意味ではなしに)、その変わり始めが描かれだしましたが、…なかなか面白いですね。
…ただ、もうちょっと、絵が上手いといいんだけどなぁ、と読むたびに思います。


まあ、そんなわけで、他にも、中島守男の「吉田家のちすじ」とか、瀧浪ユカリの「臨死!!江古田ちゃん」とか、篠房六郎のバカ漫画「百舌谷さん逆上する」、そにしけんじの「ザリガニ課長」、岩明均、熊倉隆敏、田丸浩史…、逐一連載作品を上げるのもなんなので、この辺りにいたしますけれども、なかなかに、面白い手法で描いたり、多彩なものを読ませてくれる、アフタヌーンはかなり読み応えもあって好きだなぁ、と思います。
…いつも以上にまとまりないなぁ。

ということで今回は、700円もしない雑誌で、随分楽しませてもらっている私は、安上がりにできている、「やっすい人間だなぁ…」と、しみじみ思ったという話。
最後に、蛇足を申し上げますと、本当は、やっつけ仕事じゃないのに、やっつけ仕事の体になってしまうのは、私の筆の拙さ故なので、この辺り、ご理解戴ければ幸いです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。